ご挨拶
第7回 日本消化管Virtual Reality学会総会 学術集会 会長 田中 順子 医療法人弘英会 琵琶湖大橋病院 消化器内科 |
謹啓
時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
日本消化管 Virtual Reality 学会 第7回学術集会の会長を仰せつかりました医療法人弘英会 琵琶湖大橋病院の田中順子と申します。日本消化管Virtual Reality学会は、消化管のコンピューター断層画像診断に実際に携わる者の研究発表、知識の交換等を促進する目的で、消化管CT研究会、消化管Virtual Endoscopy研究会が一つになり2018年1月20日に発足した学会です。第7回学術集会は2025年1月18日(土)に京都で開催いたします。
今回のテーマは『木を見て、森も見る』といたしました。目の前の小さな事に集中して全体を見通さないという意味の「木を見て森を見ず」という諺を捩ったものですが、日常の診療で大腸がんを診ていると、これほど予後が良いがんであるにもかかわらず、我が国では大腸がんで亡くなる方が増加傾向にあります。それは何故か。癌死と言えば胃がんだった1980年代、その撲滅に向けて対策型健診において胃透視検査が広く行われるようになりました。その頃同時に内視鏡検査も全盛期を迎え、全国で胃の検査は急速に増えていきました。しかし、今現在、大腸がんの罹患者数、死亡者数は胃がんよりも多くなったにもかかわらず、大腸の検査は胃の検査と比較して圧倒的に少ないという現実があります。最新の統計によりますと、全国で1年間に行われる胃内視鏡検査は約1200万件、胃透視検査は約1600万件行われていると報告されていますが、大腸内視鏡検査はたったの約500万件しか行われておりません。
大腸がんによる死亡者数を一人でも減らすことを目指して、大腸がんについて細胞レベル、遺伝子レベルで解析される高度医療が発展している一方で、大腸がんを発見する機会である検査そのものが全く追いついていないという日本の現状を大腸がん診療に携わる医療者が認識し、胃がんにとっての胃内視鏡検査と胃透視検査の関係のように大腸内視鏡検査と並行して大腸CT検査が普及し発展することを願って、第7回の学術集会を開催したいと思います。
冬の京都は寒くて有名ですが、蒸し寿司など京都の冬の味覚を味わいにどうぞ暖かくしてお越しください。皆様のご参加を心よりお待ちしております。
謹白
2024年7月吉日